「まごわやさしい」で栄養バランスを取ろう!春が旬の主菜と副菜

春も中盤に入り少し汗ばむ日もでてくると、時として体は気温の上昇についていけていなくなり、食欲不振に陥ってしまうこともありますね。5月の末頃からは梅雨の声をきく地方も出てきます。蒸し暑かったり急にひんやりとしたりする梅雨を健康な体で迎えるためにも、春のうちに体調を整え、梅雨に向けてのリセットをすすめていかなくてはなりません。そのためにも取っておきたい栄養素を含んだ、旬の味をご紹介します。
目次
食生活と健康の関係
昭和から平成、令和にかけての食生活の変化とは?
昭和の時代には、料理は台所でお母さんが作るもの。ご飯が冷めてしまったら蒸して温めたり、おじややチャーハンにしたりと工夫をして食べていました。おかずも、肉よりは魚や大豆製品、野菜の割合が多かったといいます。
やがて電子レンジが普及し、冷凍食品やレトルト食品が増加、また、街角のお弁当屋さんが台頭し始めます。
令和を迎えた今、さまざまな食品加工技術の進歩、輸送手段の発達などから、現在の私たちの食生活は、一見、とても豊かになりました。調理するための道具が何もなかったとしても、コンビニエンスストアやスーパーマーケットに行けば、封を切るだけで食べることができる加工食品があふれています。店内には電子レンジもあり、頼めば温めてくれるので、どこでもすぐに食べることができますね。
しかし、これらのお惣菜やお弁当の多くは、万人向けに作られており、塩分含有量が多高かったり、揚げものや肉類、炭水化物が多かったりして、栄養バランスがとれているものが少ないのが現実です。
家庭で料理を作る場合も、冷凍食品や加工食品の占める割合が増えてきましたね。
主菜と副菜を食べることのメリット
食事のメニューの中には手軽に作れて洗い物も少ない、うどんや丼物、カレーライスなどのように簡単に食べられるという魅力があります。では、栄養面ではどうでしょうか?
選ぶメニューにもよりますが、どうしても炭水化物の割合が増え、野菜やたんぱく質の摂取量が減ってしまいがちです。
それに対し、メインとなるおかずが一つ、添え物として野菜を炊いたものや酢の物、香の物、ごはん、汁物、と用意すると、少しずつであっても多くの種類の食品を取り、栄養のバランスが整いやすくなります。
また、一口ごとに味が変わることで、「食べること」に飽きることなく、食が細くなっている高齢者様にも量を召し上がっていただくための、ひとつの方法になりますね。
バランスよく食卓を彩るために
食べる食品群の量を知る
とはいえ、何をどの程度用意すればよいのでしょうか?いざ作ろうと思うと、難しいですね。
栄養バランスを取るためには、さまざまな方法があります。
料理研究家で医学博士の吉村裕之氏が提唱する「まごわやさしい」や、厚生労働省が提案する「栄養バランスガイド」はよく知られていますが、これとは別に、「手ばかり栄養法」という方法があります。これは、一日に取りたい食品をそれぞれの手のひら何杯分を食べるとよいか、ということを表すものです。
主菜となるたんぱく質は片手の手のひらのサイズ、緑黄色野菜なら両手に一杯…
公益社団法人沖縄県栄養士会様のサイトには、6つの基礎食品群や、手ばかり栄養法の摂取量の目安が紹介されています。ご参照ください。
https://okinawa-eiyo.or.jp/wp-content/uploads/2016/06/ae92c34edfbc9ab489fc62d5771566e7.pdf
主菜はその時の体調に合わせて選ぶ
主菜となるたんぱく源には肉類(主に牛・豚・鶏)、魚介類、豆類および豆製品、卵類から選ぶことが多いですね。これらを日々ローテーションでバランスよく食べておられることと思います。
ヘルシーなイメージから、ついつい野菜を多くたんぱく質は少なめで、と、料理を用意される方もいらっしゃいますが、たんぱく質の不足は運動機能・認知機能の低下をも招くことがあります。
肉類にはあまり旬を感じることはないですが、添える野菜や調理方法で旬を演出することができます。デトックスが必要な春には、揚げものや炒め物よりは、蒸したり煮たりする調理法がおすすめです。
中医薬膳学では、たんぱく源である肉類、魚介類には下記のような効能があると解釈しています。
食材の種類 | 効能 | 食材の種類 | 効能 |
牛肉 | 倦怠感の改善・体力増強・貧血予防 | えび | 足腰の冷え改善・体力回復 |
鶏肉 | 体力増強・疲労回復・冷え改善 | かつお | 貧血予防・不眠改善・体力回復・血栓予防 |
豚肉 | 便秘改善・体力回復・保湿 | 鯛 | 下痢/血行改善・体力回復・肥満予防・美肌効果 |
あさり | 貧血/高血圧予防・コレステロールの抑制と排せつ | 大豆 | 食欲不良・疲労回復・便秘改善・骨粗鬆症予防 |
鯵 | 食欲増強・高血圧/動脈硬化予防・老化防止・認知症予防 | 鶏卵 | 貧血予防・体力回復・保湿 |
『現代の食卓に生かす「食物性味表」改訂2版』(北京中医薬大学日本校 医学博士仙頭正四郎監修)より
鰆とえんどう豆のしゃぶしゃぶ
岡山県をはじめとする瀬戸内地方では、鰆をしゃぶしゃぶにして食べる習慣があります。
さっぱりとした鰆に合わせる旬のえんどう豆、みりんとしょうゆで味付けした出汁でぜひお試しくださいね。
【材料】 2人分
鰆 刺身用 20切れ程度
(できればしゃぶしゃぶ用で。アラが手に入れば出汁として利用できます。)
かつお昆布だし 600cc程度
みりん 大さじ2
しょうゆ 大さじ2
えんどう豆またはスナップエンドウ 10さや程度
豆腐 1丁
ご飯またはうどん 適宜
ねぎ 4本
しょうが・もみじおろしなど 適宜
【作り方】
①鍋にかつお昆布だしを沸かし、みりん、しょうゆで濃いめに味を調える。
②えんどう豆は皮をむく。スナップエンドウの場合は筋を取り除く。
③豆腐は一口大に切り、ねぎは小口に切る。しょうがはすりおろす。
④鰆のアラが手に入った場合は5cm程度に切り分け、熱湯を回しかけてから水に取り、血液やアクを洗い流し、(1)の鍋に入れて煮立てて出汁を取る。
⑤(1)の鍋に刺身用の鰆を入れ、霜降り程度に火を通す。
⑥えんどう豆またはスナップエンドウは1~2分煮る。
それぞれ、鍋つゆにねぎ、おろししょうが、もみじおろしを添えて召し上がってください。
※〆には雑炊やうどんがおすすめです。
豚肉の香味蒸し
豚しゃぶしゃぶ用肉で季節の香味野菜を巻いて電子レンジで加熱していただきます。春には、ピリっとした辛味もおいしいクレソンやうどなどを巻いて、季節を感じてみませんか?
【材料】 2人分
豚肉 しゃぶしゃぶ用 10枚
香味野菜 適宜
(クレソン、うど、大根、三つ葉、セリなど)
大根 5cm程度
ポン酢 適宜
【作り方】
①香味野菜はそれぞれ5cm長さに切りそろえておく。
②豚肉しゃぶしゃぶ用を広げ、端の方に香味野菜を置き、くるくると巻く。
③耐熱性の皿に(2)を並べ、600wの電子レンジで約5分間、ふんわりとラップをして中心まで火が通るまで加熱する。
④大根は皮をむいてすりおろし、水分が多すぎれば軽く切り、ポン酢とともに(3)に添える。
副菜メニューは作り置きを活用
ちょっとつまみたい箸休めといえば、煮物、酢の物や浅漬けなどではないでしょうか?これらは味をなじませたり、少し漬けておいたりした方がおいしいメニューですね。
この性質を利用して、作り置きをしてみませんか?丼物や麺類の時にも小鉢を一つ用意でき、まとめて作ることで水道光熱費の節約にもなりますよ。
新玉ねぎのカレーマリネ
春に旬を迎える新玉ねぎは瑞々しくて柔らかく、辛味が柔らかいのがよいですね。カレー粉の香りがアクセントになり、サラダのトッピングやサンドイッチの具にもおすすめです。
【材料】 作りやすい分量
新玉ねぎ 1個
塩 ひとつまみ
砂糖 大さじ1
酢 大さじ2~
カレー粉 小さじ1/2~
(辛さにより加減する)
サラダオイル 大さじ1
【作り方】
①新玉ねぎは繊維に沿って薄切りにし、ボールまたはビニール袋に入れ、塩、砂糖、酢をまぶしてしんなりしてくるまで軽く揉む。
②耐熱性の小さな器にサラダオイルを入れ、カレー粉を振り入れて電子レンジ600Wに10秒かけて軽く温める。(加熱しすぎると発火する恐れがありますので、十分注意してください。)
③(1)の新玉ねぎが柔らかくなれば(2)のカレーオイルを混ぜ、清潔な保存容器に移して冷蔵庫で保存する。1週間程度保存できます。
アスパラガスの昆布締め
通年手に入るアスパラガスですが、春になると国産のものが楽しめます。今回はさっとゆでたものを昆布締めにして旨みをプラスしました。
【材料】 作りやすい分量
アスパラガス 2束
塩 ひとつまみ
出汁昆布 20cm長さ2枚
酒 少々
【作り方】
①アスパラガスは袴を取り、切り口を落とし、下の方が固ければピーラーで皮をむく。
②塩少々を入れた熱湯で(1)のアスパラガスを茹で、ザルに取って水気をしっかりと切る。
③酒をしみこませたキッチンペーパーで出汁昆布を拭き、広げたラップの上に1枚を置き、(2)のアスパラガスを並べる。
④もう一枚の出汁昆布を上からかぶせ、ラップでしっかりと包み込む。
⑤冷蔵庫で2時間以上置き、味がしみたところで一口大に切る。
冷蔵庫で1週間保存できます。
スナップエンドウの土佐和え
さっと茹でたスナップエンドウを出汁に浸しておきます。食べるときには水分を切り、かつおぶしをまぶすことでさらに旨みがアップしますよ。まとめて作って出汁に漬けた状態で3日は保存できますので、かつおぶしだけでなく、胡麻和えにしてもよいですね。
【材料】 2人分
スナップエンドウ 10本
出汁 100cc
みりん 小さじ1
しょうゆ 大さじ1
※出汁、みりん、しょうゆは市販の白だしや麺つゆでも代用できます。
かつおぶし 2.5g(1パック)程度
【作り方】
①出汁はみりん、しょうゆで味を調えておく。白だしや麺つゆを使用するときは規定の分量で薄めておく。
②スナップエンドウは筋を取り、塩少々(分量外)を加えた熱湯で2分茹でる。
③(2)のスナップエンドウが茹で上がったら湯を切り、すぐに(1)の出汁につける。
④冷蔵庫で30分以上漬けて味をなじませる。
⑤食べるときに水分を切ってから一口大に切り、かつおぶしをまぶしつける。
少し残った野菜はピクルスや浅漬けに
普段の調理の際に、野菜が少しずつ残ることはないですか?そんな時には市販の甘酢や浅漬けのもとを利用してピクルスや浅漬けをつくっておくと、少し食べたい箸休めとして便利です。
手元に甘酢や浅漬けのもとがない場合は、甘酢の代わりにすし酢を、浅漬けのもとの代わりに少々の塩と出汁昆布を利用して作ることができます。お試しくださいね。
調理にはあまり時間がかけられないときに
仕事や介護の合間に家事をこなしている方も多い中、作りおきがあったとしても、毎日三度の食事で、主菜に合わせて副菜をきちんと用意するのは大変です。時にはまごころ弁当のお弁当を頼ってみませんか?
まごころ弁当のお弁当は栄養学のプロである管理栄養士が、食べる方のことを想って作ったお弁当です。普通食はもちろん、持病による食事制限がある方にも選びやすい、たんぱく調整食やカロリー調整食、咀嚼・嚥下に不安がある方にも手に取っていただきやすいやわらか食やムース食、刻み食と種類も豊富に用意されています。
こだわりを持って選んだ食材を利用して作られたまごころ弁当のお弁当は、ご家族それぞれのニーズに合わせて選ぶことができますね。今なら無料試食キャンペーンを実施中です。この機会にぜひお試しくださいね。
旬の食材に関するまとめ
今回は「手ばかり栄養法」をはじめとして、簡単に作ることができる旬の食材を利用した料理をご紹介しました。
栽培技術の進んだ現代、多くの野菜は一年を通して手に入れることができます。しかし、路地ものともいわれる旬の食材は、その時期の私たちの体に大切な栄養素を多く含んでいます。そして、味も濃くおいしいものです。
海や山に囲まれ、季節を感じながら暮らすことができる日本です。旬を楽しみながら、高齢者様に懐かしい話を聞かせてもらうのも良いですね。