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お酒との上手な付き合い方とは?年齢に応じた飲み方とは?

作成日:2020年5月15日

お酒との上手な付き合い方とは?年齢に応じた飲み方とは?

年齢を重ねるとともに、お酒が弱くなったと感じることがあるかもしれませんが、それは自然なことです。年齢に合わせてお酒との付き合い方も変えることが必要で、飲み方によっては健康に悪影響を及ぼします。年齢に合った、お酒との上手な付き合い方について考えます。

酒で摂取したアルコールの代謝

お酒を飲んで摂取したアルコールは、体内でどのように分解・吸収されるのでしょうか。

アルコールは肝臓で分解される

アルコールは肝臓を構成している幹細胞内にあるアルコール脱水素酵素(ADH)やミクロソームエタノール酸化系(MEOS)の働きによって、アセトアルデヒドに分解されます。このアセトアルデヒドは人にとって有害物質であり、お酒を飲んだ時に皮膚が紅潮したり、動悸や吐き気、頭痛などの原因となります。

アセトアルデヒドは2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)の働きによって酢酸に分解され、血液によって全身をめぐりながら水と炭酸ガス(CO2)に分解されて、最終的には尿や汗、呼気となって体外に排出されます。

フラッシング反応

フラッシング反応とは、ビールコップ1杯程度の少量の飲酒で、皮膚の紅潮・吐き気・動悸・眠気・頭痛などがおきることを指し、2型アルデヒド脱水素酵素の働きが弱い人、つまり一般的にお酒に弱いといわれる人に多くみられます。この体質の人を「フラッシャー」と呼ぶことがあり、フラッシャーの多くはアルコールからできたアセトアルデヒドの分解が遅く、アセトアルデヒドが体内にたまるためにフラッシング反応をおこします。

フラッシング反応は不快な症状であるため、フラッシャーは飲酒を控える傾向がありますが、飲酒を継続していくことで耐性がつき、不快な症状は少なくなる傾向があります。しかし、フラッシャーが多量の飲酒を継続した場合、食道がんや咽頭がんなどの発がんリスクが高まることがわかっているので注意が必要です。

高齢者のアルコール代謝

一般的には、加齢に伴ってアルコールの代謝機能は低下するといわれます。血中アルコール濃度が上昇しやすく、酔いやすくなると考えられます。代謝機能の低下に気づかずに若い頃と同じように飲酒を続けていると、さまざまな疾患を招いたり、転倒やヒートショックなどの思わぬ事故や怪我につながる危険もあります。

なぜ「酔う」のか?

お酒を飲むと、なぜ酔うのでしょうか?酔っているとき、体内はどのような状態になっているのでしょうか。

「酔い」のメカニズム

血液に入ったアルコールは、循環されて脳に到達すると脳を麻痺させます。これが酔った状態を作ります。飲んだアルコールが脳に到達するまでには個人差もありますが、約30分~2時間といわれており、お酒を飲んでから酔った状態になるまでには時間差が生じます。

実際にどのくらい酔っているのかは脳内のアルコール濃度によって決まりますが、脳内のアルコール濃度を測ることはできないため、血中アルコール濃度で酔いの程度を判別します。

<アルコール血中濃度と酔いの状態>
※公益社団法人アルコール健康医学協会のウェブサイトより抜粋

血中濃度(%)酒量状態脳への影響

 

爽快期0.02~

0.04

ビール中ビン1本

日本酒1合

ウイスキー

(シングル)2杯

さわやかな気分になる

皮膚が赤くなる

陽気になる

判断力が少し鈍る

 

 

 

軽い酩酊

毛様体が麻痺すると、理性をつかさどる大脳皮質の活動が低下し、抑えられていた大脳辺縁系(本能や感情をつかさどる)の活動が活発になる。
ほろ酔い期0.05~

0.10

ビール中ビン1~2本

日本酒1~2合

ウイスキー

(シングル)3杯

 

ほろ酔い気分になる

手の動きが活発になる

抑制がとれる(理性が失われる)

体温が上がる

脈が速くなる

酩酊初期0.11~

0.15

ビール中ビン3本

日本酒3合

ウイスキー

(ダブル)3杯

気が大きくなる

大声でがなりたてる

怒りっぽくなる

立てばふらつく

酩酊期0.16

0.30

ビール中ビン4~6本

日本酒(4~6合)

ウイスキー

(ダブル)5杯

千鳥足になる

何度も同じことをしゃべる

呼吸が早くなる

吐き気・嘔吐がおこる

強い酩酊小脳まで麻痺が広がると、運動失調(千鳥足)状態になる。
泥酔期0.31~

0.40

ビール中ビン7~10本

日本酒7合~1升

ウイスキーボトル1本

まともに立てない

意識がはっきりしない

言語がめちゃめちゃになる

 

麻痺

海馬(記憶の中枢)が麻痺すると、今やっていること、おきていることを記憶できない(ブラックアウト)状態になる。
昏睡期0.41~

0.50

ビール中ビン10本超

日本酒1升超

ウイスキーボトル1本超

揺り動かしても起きない

大小便がたれ流しになる

呼吸はゆっくりと深い

死亡

 

 

 

麻痺が脳全体に広がると、呼吸中枢(延髄)も危ない状態となり、死に至る。

※左右にスクロールします。

お酒による健康リスク

お酒を飲むことは人の体にどのような悪影響があるのでしょうか。

飲酒とがん

2007年のWHO(世界保健機構)の評価では、飲酒は口腔・咽頭・喉頭・食道・肝臓・大腸と女性の乳房のがんの原因となるとされました。アルコールとアセトアルデヒドには発がん性があり、このふたつの酵素の働きが弱い人が習慣的に飲酒をすると、口腔・咽頭・食道の発がんリスクは高くなります。

また日本人は欧米人に比べると、同じ飲酒量でも大腸がんのリスクが高まる傾向があります。飲酒量を減らしたり、禁酒をすることでリスクを低減させることが報告されていますが、発がんに対して実際にどのくらいの飲酒量が安全かは明確にわかっていません。

飲酒と内臓疾患

アルコールを分解するのが肝臓であるため、お酒が肝臓に悪影響を及ぼすことは一般的にも知られています。肝臓でアルコールが代謝されるときに中性脂肪が蓄積して脂肪肝になり、さらに飲酒の習慣を継続していくと、肝硬変へと進行していきます。
多量の飲酒が原因となる疾患は肝臓だけではなく、糖尿病などのすい臓の障害や消化管、循環器系、脳、末梢神経系など、全身のさまざまな臓器に発症する可能性があります。自覚症状がないまま進行する疾患もあるので、気づかないうちに進行している可能性もあります。

飲酒とうつ

飲酒はうつ病や不安障害を引きおこしたり、抑うつ気分を悪化させたりすることがあります。お酒を飲むことで一時的に気持ちが晴れることがありますが、酔いがさめるとその反動で、さらに強い抑うつや不安を感じてしまいます。
またアルコールは、うつ病や不安障害など精神科系の薬に影響して作用が増強することがあるため、薬物治療中は禁酒が必要です。さらに飲酒は自殺のリスクを高めることも指摘されています。

飲酒による高齢者への影響

高齢者は、加齢に伴った体の変化だけではなく、特有のライフステージの変化が飲酒に影響を及ぼすことがあります。

アルコール依存症

アルコール依存症とは多量の飲酒を習慣的に継続していくことで進行し、お酒を飲まずにはいられなく病気です。お酒が切れるとイライラする、不安になる、手指が震える、夜眠れない、汗をかく、食べた物を吐いてしまう、などの症状が出るようになります。お酒を飲むのが良くないことだとわかっていても、脳に異常がおきているため、飲むことを止められなくなります。
アルコール依存症は本人の意思の弱さによっておこるものではなく、薬物依存症と同様に医療機関での治療が必要な病気といえます。

日本新薬株式会社のウェブサイトアルコール依存症ナビ.jpです。簡単にアルコール依存症のチェックができます。
http://alcoholic-navi.jp/checksheet/

高齢者のアルコール依存症

厚生労働省の飲酒問題についての調査では、アルコール依存症患者の中でも、高齢者の割合が増加しているという結果があります。高齢者の人口が増加していることも要因のひとつではありますが、高齢者に特有のアルコール依存症に陥りやすい要因もあります。

1.高齢者はアルコールの影響を受けやすい

高齢者はアルコールの代謝機能が低下している可能性があると同時に、体内の水分量が減少しているために同量の飲酒でもアルコールの血中濃度が上昇しやすいといえます。また、血中濃度が同じでも中枢神経でのアルコール感受性が増加することで、アルコールの鎮静作用や運動機能への作用が強くなります。これらのことから高齢者では、少ない量の飲酒であっても、酩酊や転倒などの問題がおこりやすくなります。

2.自由な時間が増える

高齢者で多いのが、定年退職をきっかけに飲酒が習慣化したり、飲酒量が増えてアルコール依存症となるケースです。定期的に外出する機会や社会とのかかわりが減少する一方で、自由な時間が増えることが習慣的な飲酒のきっかけとなることがあります。また家族や親しい人との死別や、孤独感など、高齢者特有のライフイベントや心理状態が飲酒の問題とつながることがあります。

3.認知症との合併

高齢者のアルコール依存症では、認知症を合併している頻度が高くなります。60歳以上の入院中のアルコール依存症患者に対して認知症検査を行った研究では、18%に認知症の疑い、25%に軽度の認知症がありました。認知症の合併によりアルコール依存症の治療にも困難が生じ、悪循環に陥るリスクがあります。

飲酒と認知症の関係性

飲酒が脳に与える影響や、認知症との関係についての研究も進められています。

アルコール性認知症

アルコール性認知症とは、飲酒が要因となる認知症をまとめた呼び方ですが、多くはウエルニッケ・コルサコフ症候群を指します。多量のアルコールを摂取すると、アルコールを分解するためにビタミンB1を消費します。食事を摂らずにアルコールを摂取し続けると脳内のビタミンB1が不足し、「ウエルニッケ脳症」を引きおこします。

ウエルニッケ脳症の症状は、意識障害や歩行障害、眼振(眼球がけいれんしているように動いている状態)などがあります。以前は命の危険もある症状でしたが、最近はビタミンB1 を静脈投与することで回復するケースが増えるようになりました。しかし回復後約80%の人には、新しいことが覚えられない、時間や場所がわからない、作り話をする、などの症状がみられます。これをコルサコフ症候群(またはコルサコフ健忘症)と呼びます。

多量の飲酒と認知症

脳はアルコールの摂取量に比例して萎縮するといわれています。多量の飲酒を続けた高齢者の脳は、健康な高齢者の脳と比較すると委縮しており、小さな脳梗塞が多発しているケースもあります。フランスの研究では、早期認知症と診断された患者の半分以上がアルコール摂取量と関連していることがわかりました。またアルコールを断つことで、脳の萎縮が改善する可能性があるともいわれています。脳の萎縮以外の影響としては、加齢に伴う記憶障害や学習低下を促進する可能性もあるといわれます。

お酒の効用について

お酒の飲み過ぎは全身のあらゆる疾患のリスクを高めることは事実ですが、昔から「百薬の長」とも言われ続けています。

認知症予防の可能性

飲酒と認知症のリスクについては、世界中でさまざまな調査や研究が行われています。多くの結果に共通していえることは、大量の飲酒は認知症の原因となることがありますが、少量の飲酒の場合は、認知症のリスクにはならない、または認知症を予防する可能性があると示唆されています。ただし、これらの結果に対する明確な根拠は明らかになっていませんし、もともとお酒を飲む習慣がない人がお酒を飲み始めたからといって、認知症が予防できるといったこともありません。

死亡率との関係

欧米の研究では、適度な飲酒は全く飲酒をしない人に比べて死亡リスクが少ないという報告もあります。しかし日本人を対象とした研究は少なく、適度な飲酒と死亡リスクとの関連については明らかではありません。日本人を対象としたいくつかの研究の解析結果では、男女ともお酒を全く飲まない人よりも、週1回未満の低頻度の飲酒や、1日に純アルコールで23g未満(日本酒1合またはビール500ml相当)の少量飲酒の場合では、総死亡のリスクは有意に低くなることがわかっていますが、このリスクを下げるメカニズムについては、はっきりとわかっていません。

コミュニケーションの円滑化

お酒は、人と人との関係を円滑にするためのコミュニケーションツールとしての役割をもつことがあります。日本でも冠婚葬祭の場にはお酒を供する習慣がありますし、年中行事など季節に合わせたお酒を楽しむ習慣もあります。親しくなりたいとき、本音で語りたいときなどには、お酒によって緊張感がほぐれ、和やかな雰囲気を作ることにも役立ちます。

飲酒のガイドライン

厚生労働省では、健康を守るための12の飲酒ルールが示されています。お酒を適切に楽しむために、飲酒の習慣を見直してみましょう。

1.飲酒は1日平均2ドリンク以下

2.女性や高齢者は控えめに

3.フラッシャーも控えめに

4.たまに飲むときも大量に飲まない

5.食事と一緒にゆっくり飲む

6.寝酒は控える

7.週に2日は休肝日

8.服薬治療中は飲酒しない

9.入浴・運動・仕事の前は飲酒しない

10.妊娠・授乳中は飲酒しない

11.アルコール依存症の人は、生涯断酒

12.定期的に健診を受ける

お酒とは上手に付き合おう

お酒は、家族や親しい人と一緒に飲むことで、楽しいひと時を過ごすことができます。食事を摂りながらゆっくりと飲むことで、食事もお酒もさらにおいしく楽しめますし、体への負担も軽減できます。食事を楽しむスパイスのひとつとして、上手にお酒と付き合いましょう。

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この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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