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寝たきり老人に必要なカロリーとは?

作成日:2023年10月23日

寝たきり老人に必要なカロリーとは?

老人になるとケガや病気をきっかけに要介護状態となったり、寝たきりの生活を余儀なくされることがあります。

寝たきりの方の多くは食事にも介助が必要であり、食事に時間がかかる傾向があります。寝たきりで動けない老人の方の食事はどのくらいが適量なのか、何を基準に考えたらよいのでしょうか。

寝たきり老人に大切なカロリーについてしっかり考えてみます。

「寝たきり」とは

「寝たきり」に明確な定義はありませんが、起き上がれなかったり、寝返りが打てないなどで、1日の大半を臥床して(寝て)過ごしている状態のことです。

厚生労働省では「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」という判定基準を設けています。

障害高齢者の日常生活自立度は4つのランクに分けられています。

ランクJ(生活自立)

何らかの身体障害等を有するが、日常生活はほぼ自立し、1人で外出できる人が該当します。

「障害等」とは疾病や傷害及びそれらの後遺症あるいは老衰により生じた身体機能の低下を指しています。

ランクJは、その状態によってさらにJ-1とJ-2に分けられています。

生活自立

ランクA(準寝たきり)

寝たきり予備軍といえます。1人では外出できない状態を指して「ハウスバウンド(house bound)」と呼ばれることもあります。

日中も寝たり起きたりしていますが、起きている時間の方が長く、家の中での日常生活活動のうち、食事、排泄、着替えについてはおおむね自分で行い留守番なども可能ですが、近所でも外出するときは介護者の援助が必要な状態が該当します。

ランクAは、その状態によってさらにA-1とA-2に分けられています。

ランクB(寝たきり)

1日の大半を臥床して過ごすが、座位を保つことは可能で、起きている時間には車いすを使用することも多いため「チェアバウンド(chair bound)」と呼ばれることもあります。

日常生活活動のうち、食事、排泄、着替えのいずれかにおいては部分的に介護者の援助が必要な状態が該当します。

ランクBは、その状態によってさらにB-1とB-2に分けられています。

寝たきり

ランクC(寝たきり)

ランクBと同じく寝たきりに分類されますが、ランクBよりも障害の程度が重い者のグループで「ベッドバウンド(bed bound)」と呼ばれることもあります。

日常生活活動の食事、排泄、着替えのいずれにも介護者の援助が全面的に必要な状態であり、1日中を臥床して過ごしている場合が該当します。

ランクCは、その状態によってさらにC-1とC-2に分けられています。

「寝たきり」になるとどうなるか

寝たきりは、自分の意思で思ったように体を動かすことが困難となったり、全く動かすことができない状態です。

全身の器官が正常に機能するためには、体が動いていることが重要な要素のひとつです。寝たきりになることで、体にはさまざまな悪影響が生じる可能性があります。

体を動かさないことによって生じる身体機能の低下は「廃用症候群」や「生活不活発病」などと呼ばれ、次のような症状があります。

筋力の低下

加齢に伴って全身の筋肉量は減少し筋力は低下していく傾向がありますが、動かない(動けない)ことで、筋肉の萎縮は進行します。

例えば入院などで1週間ベッドで安静にしていると、筋力は10~15%も低下するといわれています。

関節の拘縮

関節を動かさないでいると、関節周辺の筋肉や腱、靱帯、皮膚などの組織が硬くなってしまい、動かなくなっていきます。

関節を動かせる範囲が狭くなり、曲げ伸ばしができなくなることを「拘縮」といいます。

骨粗しょう症の進行

骨は「壊れて再生する」をくり返しながら負荷がかかることで強くなるため、寝たきりになることで骨密度は急速に低下し、骨粗しょう症は進行します。

筋委縮や関節の拘縮によって四肢が動かなくなっていることに加えて骨粗しょう症が進行していると、日常の介護動作に伴って骨折してしまう「介護骨折」を生じる可能性が高まります。

骨粗しょう症の進行

褥瘡の形成

褥瘡(じょくそう)は「床ずれ」のことです。寝たきりでいると、圧迫された部位の血流が滞り、皮膚に十分な酸素と栄養が行き渡らないことで褥瘡ができます。

高齢者では皮膚が弱くなっていたり、慢性疾患や栄養状態によっても褥瘡ができやすかったり、治りにくくなることがあります。

認知症の発症・進行

寝たきりでいることで、外部環境からの刺激が減少して精神活動が低下したり、動かない(動けない)ことで脳への血流が低下することで認知症を発症したり、急激に進行したりすることがあります。

寝たきりの老人に必要な摂取カロリーの計算

寝たきりになってしまってからも、廃用症候群をできるだけ発症・進行させないために、過不足なく栄養を摂ることが理想的です。

日本人の食事摂取基準では、高齢者の推定必要エネルギーは年齢、性別、さらに身体活動レベルで分けられていますが、寝たきりの方にそのまま当てはめることは難しく、病院や施設などでは、できる限り個人の状態に応じた必要カロリーを算出しています。

「カロリー」はエネルギーの単位(kcal)のことであり、以下に挙げる計算式ではカロリーの量をエネルギー量と示しています。

身長・体重

必要な摂取カロリーを計算するために、身長や体重を量る必要があります。

寝たきりの方は身長や体重を正確に測定することが難しいため、介護保険のサービスを利用している場合には利用先の施設や訪問看護師などに依頼して、測定してもらうとよいでしょう。

基礎エネルギー消費量(BEE)

基礎エネルギー消費量は、安静臥床、絶食の状態で消費されるエネルギー量のことで、基礎代謝量ともいわれます。

この基礎エネルギー消費量を算出するために、一般的に使用されるのが「ハリスベネディクトの式」です。

男性:BEE(kcal/day)= 66.47+(13.75×体重kg)+(5.00×身長cm)- (6.76×年齢)
女性:BEE(kcal/day)= 655.1+(9.56×体重kg)+(1.85×身長cm)-( 4.68×年齢)

(例)身長142㎝、体重40㎏、85歳の女性

655.1+(9.56×40kg)+(1.85×1.42cm)-(4.68×85歳)=642.33(kcal/day)

総エネルギー消費量(TEE)

基礎エネルギー消費量(BEE)に活動係数(AF)とストレス係数(SF)を乗じたものが総エネルギー消費量です。

活動係数やストレス係数は、その状態に応じてそれぞれ設定されています。以下に例を挙げます。

TEE(kcal/day)=BEE(kcal/day)×活動係数(AF)×ストレス係数(SF)

活動係数

寝たきり(意識が低下している状態):1.0
寝たきり(覚醒している)     :1.1
ベッド上安静           :1.2

ストレス係数

飢餓状態      :0.6~0.9
手術        :1.8
癌         :1.2~1.3
重症感染症     :1.2~1.3
発熱(1℃ごと) :1.2~1.3
褥瘡        :1.2~1.5

必要エネルギー量の設定

前記の例の女性の場合、1日の基礎エネルギー消費量がおよそ640kcalと算出されましたが、この人が寝たきりで子宮がんだった場合を式に当てはめると、
640×1.1×1.2=844.8(kcal/day)
1日におよそ850kcalが必要ということになります。

しかし、これはあくまでも計算上の目安であり、実際にはもう少し体重を増やした方が良い場合や、医師の指示がある場合、本人が食べられる量などを考慮したうえで提供するエネルギー量を決めます。

エネルギー量が決まったら、そのエネルギー量が適正かどうかを評価するため、一定期間食べた食事量を記録して摂取エネルギー量を計算し、体重の増減や全身状態を観察してエネルギー量の過不足を再検討し、必要に応じて調整をします。

寝たきり老人に必要なカロリーとは

寝たきりとなった老人に必要なカロリーは、体格や疾患などによる個人差も大きく、適切に数値化するのは非常に困難です。

計算上の必要カロリー量を目安にしながら、体格の変動や基本的なバイタルサイン、皮膚の状態、睡眠や排せつの様子、表情など全身状態を見ながら、適宜調整していくのが理想的です。

在宅介護では身体計測や必要なカロリー量の算出が難しいこともあるので、かかりつけの医師や看護師、管理栄養士などの専門家に相談してみましょう。

この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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