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高齢者こそしっかり摂りたいタンパク質 必要量の計算方法

作成日:2023年10月23日

高齢者こそしっかり摂りたいタンパク質 必要量の計算方法

タンパク質は、スポーツ選手やトレーニングをしている人などが積極的に摂る栄養素のイメージがあるかもしれません。

しかしタンパク質は体を構成する栄養素であり、性別や年齢、生活環境などにかかわらず誰にとっても重要な栄養素です。

近年は特に、高齢者にも十分なタンパク質を摂ることが勧められています。では高齢者はどのくらいのタンパク質を摂ればよいのでしょうか。

なぜ高齢者にタンパク質が必要なのか

日本は世界的にもトップクラスの長寿国ですが、2016年のデータでは、平均寿命と健康寿命には男性で8.84年、女性で12.35年もの差があります。

この差は日常生活に何かしらの介護や援助を必要とする期間を指しており、健康寿命を延ばしていくことが課題となっています。

フレイル・サルコペニアの予防

健康寿命を延ばすために必要と考えられているのが「フレイル」と「サルコペニア」を予防することです。

国は2019年に「健康寿命延伸プラン」を策定し、2040年までに男女ともに健康寿命を3年以上延伸することを掲げています。

フレイル・サルコペニアの予防

フレイルとは

フレイルは「虚弱」や「脆弱」などを表しており、「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」とされています。

簡単に言い換えると、健康な状態と介護が必要な状態の中間であり、適切な対応によって健康な状態に戻ることができます。

フレイルの診断基準にはいくつかありますが、そのうちの1つを紹介します。次の項目のうち3個以上が該当した場合にフレイル、1~2個該当した場合はプレフレイルとされます。

<フレイル評価基準(J-CHS基準)>
1.意図しない体重減少がある。(6か月に2㎏以上)
2.わけもなく疲れた感じがする。(ここ2週間)
3.運動をしていない。(軽い運動、定期的なスポーツなど何も)
4.横断歩道が青のうちに渡り切れないことがある。(歩行速度1.0m/秒未満)
5.握力が低下している。(男性26㎏未満、女性17㎏未満)

サルコペニアとは

サルコペニアは加齢に伴って筋肉の量が減少していくことです。

不活発な生活を継続していくことで、25~30歳頃には筋肉量は減少し始めると考えられていますが、適度なトレーニングによってサルコペニアの進行を抑制できると考えられています。

特に高齢者では筋肉量の減少が進行すると立ち上がったり歩いたりすることが困難となり、転びやすくなったり、寝たきりとなる可能性があります。

サルコペニアとは

高齢者に必要なタンパク質の量

日本人の食事摂取基準では、65歳以上の男性は1日に60g、女性は50gをタンパク質摂取の推奨量としています。

まずはこの推奨量を目標としてタンパク質を摂取しましょう。

他にもフレイル・サルコペニアの発症を予防するためには、65歳以上では体重1㎏あたり1.0g以上のタンパク質を摂取することが望ましいとされたり、フレイルまたはプレフレイルの状態にある高齢者では、体重1㎏あたり1.5gのタンパク質を摂取した場合と、0.8gのタンパク質を摂取した場合では、体重1㎏あたり1.5gのタンパク質を摂取した方が筋肉量や身体機能の改善があったという報告もあります。

日本人の食事摂取基準では、個別に必要なタンパク質量を定めることは難しいとしていますが、体格が小さく(体重が少なく)体重あたりのタンパク質摂取量が推奨量を下回った場合や、活動量が少なく必要摂取エネルギー量が少ない場合でも、上記の推奨量(65歳以上の男性は1日に60g、女性は50g)を最低摂取量とするのが望ましいとしています。

体重から必要なタンパク質量を計算する

体重から必要なタンパク質量を算出する場合、まずは適正体重を確認してみましょう。

適正体重はBMI(体格指数)を利用します。日本人の食事摂取基準では50~69歳の目標とするBMIは20.0~24.9、70歳以上では21.5~24.9とされており、一般的にはBMI22が標準体重として利用されています。

今回は75歳、男性、身長170㎝、58㎏の場合を例として計算してみます。ここでは健康な高齢者を想定しており、持病がある場合はこの限りではありません。

持病がある場合には、かかりつけの医師や看護師、管理栄養士の指示に従ってください。

BMIを算出する

BMIは次の式で算出できます。

「BMI=身長(m)×身長(m)÷ 体重(㎏)」
前記の例の数値を当てはめると
1.7(m)×1.7(m)÷ 58(㎏)=20.06≒20.1

BMIは20.1となり、目標値の範囲を下回っていることがわかりました。

標準体重(BMI22)を算出する

次に目標とする標準体重を算出してみましょう。

標準体重をBMI22とすると、
「標準体重=身長(m)×身長(m)× 22 」
前記の例の数値を当てはめると
1.7(m)×1.7(m)× 22=63.58≒64(㎏)

目標体重は64㎏となりました。

必要なタンパク質量を算出する

実測体重が標準範囲内である場合は実測体重、標準範囲から外れている場合は、目標体重を用いて計算します。

前記の例の場合は、体重が標準範囲を下回っているため、目標体重を使ってタンパク質量を算出します。

フレイル予防を目的として必要なタンパク質量である、体重1㎏あたり1gとして計算すると
64(㎏)×1(g)=64(g)
1日に摂りたいタンパク質量は64gと算出されました。

タンパク質が摂れる食品と摂り方

タンパク質は、1回に吸収できる量が限られていると考えられています。

そのため1食でたくさん摂るよりも、朝昼晩の食事でバランスよくタンパク質が摂れるようにしましょう。

1日に60gのタンパク質を摂取する場合は、1食あたり20g以上の摂取が目安となります。現代の日本人は朝食にタンパク質の摂取が不足している傾向があるため、朝食では特に意識的にタンパク質を摂取するようにしましょう。

タンパク質が摂れる食品

タンパク質は肉や魚、卵、乳・乳製品、豆・豆製品に豊富に含まれています。

タンパク質は20種類のアミノ酸で構成されており、そのうち9種類は体内で合成できないため食事から摂る必要があります。

食品によって含まれているアミノ酸が異なるため、いろいろな食材を摂ることをこころがけましょう。

タンパク質が摂れる食品

1食で20gのタンパク質の目安

含まれているタンパク質の量は食品によって異なりますが、大まかな目安として、メインのおかずに肉や魚を80~100g程度食べると、15g前後のタンパク質を摂ることができます。

タンパク質は穀類や野菜類などにも含まれているので、主食と汁物を加え、さらに副菜に卵や豆・豆製品などを取り入れると、20g以上のタンパク質が摂れると考えられます。

タンパク質を運動後に摂る

サルコペニア・フレイルを予防するためには、十分なタンパク質摂取と運動が欠かせません。

厚生労働省では高齢者の運動の例として、ストレッチや体操を1日10分以上、散歩やウォーキングを1日20分以上、または下肢及び体幹部の筋力トレーニングを1週間に2回程度のいずれかを、体力や身体機能に応じて行うことを推奨しています。

タンパク質は運動終了直後に吸収が促進され、効率よく筋肉へ運ばれることがわかっています。運動後に牛乳や豆乳を飲んだり、プロテインドリンクなどを利用すると、効率よく筋肉が作られると考えられます。

タンパク質は摂り過ぎにも注意

高齢者にとってタンパク質は重要な栄養素ですが、摂り過ぎにも注意が必要です。

タンパク質の過剰摂取は腎臓に負荷がかかる事があり、腎臓の機能に悪影響を及ぼす可能性があります。

特に腎疾患がある場合には、食事療法としてタンパク質の摂取を制限することがあるため、疾患がある場合にはかかりつけの医師や管理栄養士の指示に従いましょう。

タンパク質 必要量の計算方法

高齢者の健康寿命を延ばすためにフレイル・サルコペニアの予防が重要と考えられています。

加齢に伴い体内で筋肉を合成する機能が低下するため、若年層と同じ量のタンパク質を摂取して同じ運動をしたとしても、作られる筋肉量は同等というわけにはいきません。

そのため日本人の食事摂取基準では、65歳以上では総エネルギーに占めるタンパク質のエネルギー割合を15~20%としており、これは18~49歳の13~20%よりも下限値が高く設定されています。

サルコペニアやフレイルの予防・改善にはタンパク質の摂取だけではなく、運動が重要な要素のひとつです。タンパク質を十分に摂り、適度な運動をこころがけましょう。

この記事の作成者:S.M(管理栄養士)
この記事の提供元:シルバーライフ

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